離婚を有利に進めるための方法を弁護士が解説
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目次
離婚する場合に決めなければならないこと
離婚を決意した場合,まず何から手をつけて良いか分からないとう方もおられるかと思います。
お子さんがおられる場合には,まずは親権を定めなければ,離婚の届け出をすること自体が出来ませんが,それ以外にも,次のとおり,決めなければならないことは多くあります。
- 財産分与
- 慰謝料
- 年金分割
- 親権
- 養育費
- 婚姻費用
離婚に当たっては,誰しもこれらのことについて,できるだけご自身に有利に進めたいと考えるでしょうし,中には,有利に進められないのであれば,離婚自体思いとどまる方すらいらっしゃるかもしれません。
以下では,離婚を有利に進めるための方法について解説します。
財産分与をできるだけ多く獲得するためには
婚姻後に築いた財産が相当額に上る場合には,財産分与は大きな問題となります。
より多くの財産を獲得するための前提条件として,まず,財産の把握が最も重要となります。自宅不動産等のわかりやすい財産の場合は良いですが,預貯金や証券,生命保険等の財産について,相手がどのようなものを持っているのかを把握していないと,財産分与の対象とすることが出来ず,結果的に少ない金額しか獲得できないかも知れないからです。
このため,同居中に,相手名義の財産については,できる限り詳細に把握するように努めましょう。どこの口座に財産があるか見当はつくものの具体的には分からないといった場合には,弁護士に依頼して,23条照会といって,弁護士会を通じた紹介制度を利用して詳細を把握することも必要になってきます。
財産を把握した後は,その財産がそもそも共有財産といえるのか,また,その財産のうちどの部分を共有財産とみるのか,また,評価方法等について,相手方と交渉することになります。
財産分与の受取額は,共有財産の範囲,評価方法や対象期間によって大きく異なってきますので,これらの事項について,相手としっかりと交渉しましょう。
その際,相手との交渉に自信がない場合や,財産の額が大きい,種類が多様等の理由から交渉がシビアで複雑である場合には,少しでも多くの金額を獲得するため,離婚問題に注力する弁護士に依頼するのが良いでしょう。
慰謝料をできるだけ多く獲得するためには
相手に離婚の原因がある場合には,離婚について慰謝料を請求することが出来ます。
しかし,裁判等で相手に慰謝料を請求するためには,相手が慰謝料を支払うだけの違法な行為をしたということを,証拠によって証明する必要があります。
このため,慰謝料を請求するためには,まずは,相手の行為を証拠に残しましょう。例えば,不貞行為であれば,配偶者と不貞相手とのLINEのやりとりや,場合によっては探偵に依頼するなどして不貞の証拠をおさえましょう。暴力やモラハラ等の場合には,録音なども有効な手段といえるでしょう。
このような証拠を押さえた上で,できるだけ多くの金額を獲得できるよう,相手と交渉をすることになります。その際,類似の事案であれば,どの程度の慰謝料を支払うことになるといった裁判例等も参考にしつつ,今回の場合はどれだけ違法性が高いかなどに着目しながら行うことで,説得的な交渉を行うことが出来るでしょう。このため,離婚問題に注力する弁護士に依頼するのが最も効果的な方法といえるでしょう。
また,裁判になった場合にも,押さえた証拠を元に,相手の行為がどれほど違法なものであったかを,法的根拠に基づいて主張立証して行く必要があります。裁判である以上,専門家である弁護士に頼るのが現実的でしょう。
なお,相手が事実を認めている状態であれば,証拠は必須とまではいえませんが,裁判になった段階で,相手が自分の主張を突然翻してくることがないとはいえないため,やはり証拠を押さえる努力をすることは必要でしょう。
親権を獲得するためには
冒頭でも述べましたが,夫婦の間に未成年の子どもがいる場合は,親権を定めなければ離婚をすることが出来ません。
また,離婚しても子どもと一緒に生活したいと考える方は多く,親権争いは,離婚の際に最も苛烈となりやすい争点の一つです。
裁判所で親権が決定される際に重視される要素の詳細は,当サイトの親権のページをご覧いただければと思いますが,
- ①子どもの年齢(10歳ころまでは,母親の役割が重視される傾向),
- ②子どもの意思(15歳以上の子どもであれば,この意見が尊重されやすい),
- ③監護の実績(それまで子を養育監護してきたものを優先),
- ④兄弟姉妹の関係の尊重(血のつながった兄弟姉妹はなるべく分離しない方が良い),⑤監護能力と意思(子の身の回りの世話をする能力や意欲,経済力),
- ⑥親族などの援助・協力(補助的事情)
により判断されることになります。
親権を獲得するため,これらの条件をなるべくそろえるようにしましょう。具体的には,①,②,④の事情はご自身の意思で整えることは難しいかも知れませんが,③,⑤,⑥については,ご自身である程度準備をすることが可能です。
すなわち,離婚が視野に入っていて,親権を獲得したいと考えている場合には,③子の養育監護を相手に任せきりにするのではなく,主体的にこれに関わるようにすることが必要です。また,⑤子の身の回りの世話を自分で行うことによって,監護の能力があると判断されることになりますし,⑥ご自身のみでの監護養育が難しい場合には,親族などの助けを求められるようにしておく等,環境を整えておきましょう。
調停で親権が争われる場合には,子どもの心理等について専門知識を持った調査官という専門家が,調停を担当することになります。その調査官に,あなたが親権者としてふさわしいと判断してもらう必要があるのです。
このため,調査官に対して,適切な受け答えをすることや家庭環境が整っているところを見てもらうことが必要になります。
また,別居中は,③監護の実績の点で,子どもと一緒にいる方の親が有利だと一般に言われていますので,離婚が視野に入っている場合で,親権を取りたいと考えられている場合には,そのことも頭に入れておく必要があるでしょう。
離婚に関する争点の中でも,子どもの問題はその後の生活に影響を及ぼす最も重大な争点の一つといえます。親権獲得に不安を抱えておられる方は,親権問題に実績のある弁護士に相談してみましょう。
婚姻費用について
離婚が成立するまでの間,収入の低い方(あるいは,子どもと同居している方)が,高い方に対し,婚姻費用(生活費)を請求することが出来ます。
婚姻費用をきちんと請求し,離婚までの経済的不安をなくすことで,焦らずにじっくりと離婚の条件交渉を行うことができ,有利な結果にもつながります。
このため,当面の生活に不安のある場合には,離婚を決意した時点で婚姻費用の取り決めを行い,また,相手が支払ってくれない場合には,調停を申し立ててこれを決めることは重要です。
なお,調停・審判において,未払いの婚姻費用を請求できる始点は,相手へ明確に請求をした時期となります。このため,メール等の証拠に残る形で,相手に婚姻費用の請求をしておくと良いでしょう。
離婚を有利に進めやすいケース
離婚の条件を有利に進めやすいケースとしては,次のものがあります。
離婚を請求されている場合
相手から離婚を請求されている場合には,離婚したいのは相手である以上,離婚を成立させるために,条件については,譲歩してくる可能性が高いため,条件交渉は有利に進められる可能性が高くなります。
相手が有責配偶者の場合(証拠がある場合)
相手が不貞を行った,DVやモラハラを行ったといういわゆる有責配偶者であり,なおかつ,証拠がとれている場合には,慰謝料を取れる可能性が高いため,有利であるといえます。
これに加えて,相手が離婚したいと考えている場合は,有責配偶者からの離婚請求となり,離婚が認められるためのハードルが高くなります。このため,話し合いや調停で解決すべく,相手は,離婚条件を譲歩してくる可能性が高いでしょう。
これらのように有利な条件で離婚が可能な場面にもかかわらず,実際には,相手から理不尽なことをいわれ,有利な条件を得るための交渉を諦めてしまうような方もおられます。
離婚の際に,少しでも有利な条件を勝ち取ることは,その後の生活の糧となりますので,諦めずに交渉をすることはとても重要です。
有利に進められそうな状況であるにもかかわらず,相手方が理不尽な主張をして来る場合や,離婚後のために少しでも良い条件で離婚をしたいと考えられている方は,離婚問題に注力する専門の弁護士へのご依頼をおすすめします。
こんなお悩みをお持ちの方は下川法律事務所にご相談ください
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