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40代の離婚でのポイントを広島の弁護士が解説

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。

離婚を検討されている40代の方へ

40代になると,子ども達も大きくなり,今後の自分の人生について考えた結果,離婚を考えられる方も増えてくると思います。他方,20代や30代の頃と比較して,これまでの生活を変えることに対する不安も大きいことから、離婚をしたいと思っても、躊躇される方もおられると思います。

今回は,40代の離婚について,離婚までの流れや気をつけるべきポイントを説明します。

40代の方が離婚を決意してから離婚が成立するまでの流れ

(1)配偶者に離婚の意思を伝える

まずは,配偶者に離婚の意思をはっきりと伝えることがスタートです。

なかには,対面で配偶者に離婚を切り出すことがこわいという方もおられるかと思いますが,必ずしも対面で離婚の意思を伝える必要はありません。電話やメール,置き手紙等でも良いので,離婚の意思を伝えるようにしましょう。

また,同居中の場合,配偶者に離婚の意思を伝えても,離婚条件をまともに話し合うことが困難というケースもあろうかと思います。その場合には,円滑に離婚の話し合いを進めるために,先に別居をすることも選択肢のひとつかと思います。

もっとも,何も言わずに出ていくと,裁判上の離婚事由のひとつである「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に該当するおそれがあり,警察等に捜索願を出されてトラブルにもなりかねませんので,その際も,対面や電話、メール、置手紙等で離婚の意思を伝えておく必要があります。

なお,一度離婚を切り出した後には,配偶者が少しでも財産分与対象とする財産を少なくする目的で、預貯金等の財産を隠す可能性がありますので,配偶者が保有している財産については,離婚の意思を伝える前にできる限り把握しておくに越したことはありません。

(2)協議離婚

配偶者が離婚自体に同意している場合には,当事者同士または代理人を通して,協議による離婚を目指すことになります。

協議離婚の最大のメリットは,裁判所の手続きを挟まないため、双方が離婚条件に同意していれば、早めに離婚できるという点にありますが、お互いが離婚条件に同意することは、簡単ではありません。

なかには,早く離婚したいがあまり,配偶者の言われるがまま,不当な条件で離婚してしまうケースも少なくありません。

協議離婚の場合であっても,弁護士にご依頼いただければ,配偶者の不当な要求を受け入れずに,あなたの希望する離婚条件をしっかりと伝えることができますので,早めのご相談・ご依頼をご検討ください。

(3)調停離婚

配偶者に離婚する意思がない場合や,離婚条件が協議でまとまらなかった場合には,家庭裁判所に調停を申し立て,裁判所を介して,離婚の有無及び離婚条件を話し合うことになります。

離婚調停申立後は,月1~2ヶ月に1回の頻度で期日が設定され,申立てから解決(調停成立)までに短くても半年程度は要することになりますが、裁判所から調停に出席するよう手紙が届くため、裁判所を介しない離婚協議と比較して、配偶者がこちらの連絡を一切無視するという事態は、避けられる可能性が高くなります。

もっとも,離婚調停も、いくら裁判所を介しているとはいえ,当事者間の話し合いですので,双方の間で最終的に合意が得られなければ,調停は不成立となります。

その場合には、裁判離婚によってのみ、離婚することが可能となります。

(4)裁判離婚

調停が成立しなかった場合には、離婚の訴えを提起し、裁判による離婚手続きを進めていくことになります。

裁判による離婚が認められるためには,以下のとおり、裁判上の離婚事由(民法770条1項)が必要です。

一 配偶者に不貞な行為があったとき

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき

三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

五 その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

このうち、配偶者の不貞行為やDV等、明らかな有責性が認められない場合には,「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」(5号)として、婚姻関係が破綻していることを立証する必要があります。そのため、配偶者の不貞行為やDV等がない場合には、婚姻関係が破綻していることを立証するため、早くから別居しておくことが必要です。

一般的に、裁判上の離婚に必要な別居期間は、5年程度と言われていますが、どの程度の別居期間をおけば確実に離婚できるかは、個別事情によって異なりますので、ご自身のケースでどのくらいの別居期間が必要かにつきましては、あらかじめ弁護士にご相談ください。

3.離婚が成立するまでの生活費について

自身が専業主婦やパートで、主たる収入が配偶者の収入である場合や、お子さんがいらっしゃる場合には,離婚するまでの当面の生活費についても見通しがたたず、離婚を切り出せなかったり、別居に踏み切れない方もいらっしゃることかと思います。

しかし、婚姻中の夫婦は、たとえ別居した後であっても、婚姻費用を分担する義務がありますので(民法760条)、別居後、婚姻費用を請求した月から離婚するまでの間、婚姻費用を請求することができます。

婚姻費用は、双方が合意すればいくらでも問題ありませんが、仮に合意が難しい場合には、裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立て、双方の収入に応じて算出された裁判所の算定表を基準に、婚姻費用の月額を決定してもらうことも可能です。

調停または審判において婚姻費用を定めてもらうメリットは、配偶者が婚姻費用を支払わなかった場合であっても、給与債権や預金債権に強制執行をかけることが可能となることにあります。

離婚について弁護士に相談される際には、婚姻費用についても併せてご相談いただければと思います。

4.離婚する条件を決める際に気をつけるべきポイント

(1)親権

親権について争いがあった場合,裁判所は、これまで主に子ども達を養育してきた者が誰なのかによって親権者を決する場合が多く、一般的には,母親に親権が行くことが多いと考えられます。特に,お子様がまた未就学児の場合には,母親が子どもを虐待している等,特段の事情が無い限りは,親権者は母親となります。

もっとも,お子さんの年齢が大きい場合で,父親と暮らしたい意思が強い場合には,例外的に親権者が父親となることもあります。

(2)面会交流

離婚後、親権者ではない方の親と子どもたちは、面会交流を行う権利がありますので、親権者ではない方の親が子に暴力をふるっていた等、面会交流を実施すべきでない特段の事情がない限りは、離婚後、どのように面会交流を行うかについても、あらかじめ定めておく必要があります。

元夫婦間の連絡に問題がない場合や、親子間で面会交流の日程調整を行っても支障がない年齢の場合には、当事者の協議で自由に面会交流を行うという定め方をする場合もありますが、そうでない場合には、最低限、面会交流の頻度(月1回等)、1回の面会交流の時間等を定めることが一般的です。

離婚後、面会交流が実施されない場合には、面会交流調停の申し立てを行うことが可能ですし、長期間の面会交流の拒絶を理由に、親権者変更の調停を申し立てることも考えられますので、離婚後、親権者となった場合には、正当な理由なく面会交流を拒絶し続けることは避けた方がよいでしょう。

(3)養育費

養育費も,婚姻費用と同様、双方の合意すればいくらでも問題ありませんが、仮に合意が難しい場合には、双方の年収をもとに,裁判所の算定表を利用して算出された額となることが一般的です。

また、養育費の終期については、双方の合意に基づき、高校卒業時である18歳とする場合もあれば、大学卒業時である22歳とする場合もありますので、あらかじめご自身の希望を検討しておく必要があります。

(4)財産分与

結婚後、同居中に夫婦で築いた財産については,折半するのが原則です。

前述のとおり、離婚前に別居を検討されている場合には,別居前に,可能な範囲で配偶者の財産に関する手がかりを探しておくことが必要です。

他方、子供たちの財産についても、原則としては、財産分与の対象となりますが、夫婦間の協議により、財産分与の対象から外すケースもありますので、子供たちの財産を財産分与の対象から外すことを希望する場合には、あらかじめ主張しておくことが必要です。

(5)慰謝料

夫婦の離婚原因が,相手方のDVや不貞等にある場合,財産分与とは別に,慰謝料を請求することができます。

もっとも、少なくとも裁判離婚で慰謝料を請求するためには,客観的証拠が必要ですので,たとえば,DVの場合には,受傷直後の診断書及びケガの写真,日記等により日常的なDVを立証するための資料を,不貞の場合には,配偶者が不貞関係にあったことが分かる写真やLINEのやり取りを入手しておく必要があります。

また、裁判離婚でない場合であっても、調停委員や配偶者から資料の提出を求められることがありますので、できるだけ有利な条件で離婚するという観点からも、客観的な資料をできる限り収集・保管しておくことをお勧めします。

(6)年金分割

離婚する際には,婚姻期間中の厚生年金記録を当事者間で分割することができます。

40代で離婚する場合には,婚姻期間が10年以上の長期間に及ぶ可能性が少なくありません。特に,専業主婦やパートで働いている方で,夫婦間に収入格差がある場合には,配偶者の厚生年金記録を分割することにより,より多くの年金額を確保することができますので,年金分割を忘れずに請求しておくことが大切です。

離婚を検討されている40代の方はまずは下川法律事務所までご相談ください

40代で離婚をされるという決断は,20代,30代の頃よりもエネルギーを要すると思いますので,離婚という決断に踏み切れない方も多いと思います。

離婚を考えているけど経済的な不安が払拭できない,離婚した場合に相手からどれくらいの財産を分与してもらえるのか(いくら財産を分与しなければならないのか)知りたい,親権が取れるか不安等,離婚に関するご相談につきましては,お気軽に下川法律事務所までご相談いただければと思います。

執筆者情報

下川絵美(広島弁護士会)
下川絵美(広島弁護士会)
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