menu

HOME/ 専業主婦・パート主婦の離婚準備を広島の弁護士が解説

専業主婦・パート主婦の離婚準備を広島の弁護士が解説

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

1 専業主婦・パート主婦が離婚を考えるとき

例えば,夫の不貞行為や,モラハラ等の精神的暴力で,辛い思いを抱えていたとしても,専業主婦やパート主婦においては,経済的な不安が大きく,離婚を踏み切れず辛い状態のまま,現状維持でやり過ごす方も多いのではないでしょうか。

離婚をしてしまったら,「現在の収入では自力で生活が出来るかが不安」,「子供に不自由な思いをさせたくない」,「子供の生活環境を変えたくない」等と考えてしまい,「自分一人が我慢をすればこの生活を続けられる。」として,一人で抱え込んでしまわれる方も多くいらっしゃいます。

ですが,人間である以上,ずっと我慢し続けることなどできませんし,そのような状態が一定期間以上続くと,そのうち心身に不調を来す方もおられます。何より,一度きりの人生なのにもかかわらず,一人で我慢し続けるということで良いのか,ということもあります。

愛する子供のためには両親が揃っていた方が良い,子供に経済面で不自由をさせたくないと考えるのは当然のことですが,子供の方が,両親の不仲に気付いており,逆に気を遣って苦しい思いをしている場合もあります。そればかりか,夫の方が,子供を精神的に虐待するなどしており,子供の方が実は父親と離れたがっているというケースもあるでしょう。長年我慢を続けてきたけれど,子供の方から,「お母さん離婚して良いよ。」といわれ,離婚を決心される方もおられます。

このように,離婚を我慢している理由が経済的な問題なのであれば,少しでも離婚を有利に進めることで,経済的不安を払拭して,自分自身の人生を大切にするということを検討してみても良いかも知れません。

以下,専業主婦・パート主婦が経済的不安を払拭するためのポイントについて解説します。

 

2 パート主婦が離婚にあたって考えるべきポイント

財産分与

財産分与とは,婚姻期間中に形成した夫婦の共有財産について,離婚時に,原則折半して清算するための手続です。

財産分与でまとまった金額を手にすることが出来るのであれば,離婚後の生活の安定につながることもあり,財産分与をしっかりと受け取れるかどうかは,主婦の離婚における重要なポイントとなります。

財産分与については,名義がどうなっているかにかかわらず,婚姻期間中に形成された財産であれば対象になります。また,預貯金だけでなく,保険や,自動車,不動産,会社の財形貯蓄,退職金等も対象になります。

ただし,特有財産(婚姻前から持っていた財産や,実の親から贈与された財産等)は対象外となることに注意が必要です。

専業主婦やパート主婦においては,夫婦間で収入差が大きいこともあり,夫の側から,「お前は稼いでいないんだから,半分も渡せない。」等といった主張をされることも考えられます。

ですが,妻が主婦として支えたからこそ,財産が形成できたといえますので,財産分与の割合は,よほどの事情がない限りは,2分の1ずつとなります。

離婚にあたって,自宅は売却しないいけないのかといったご質問を受けることがありますが,基本的には,自宅の現在価値からローン残高を差し引いた売却益相当額を2分の1した金額を,自宅を取得する方が,相手に対して支払うという清算方法になります。もちろん,売却して,売却益を折半という方法でもかまいません。

財産分与につきまして,詳細はこちらをご覧下さい。

離婚慰謝料

不貞行為やDVなど,相手の責任で離婚に至る場合には,相手方に対して慰謝料を請求することが出来ます。

慰謝料の金額は,婚姻期間や有責行為の内容等によって異なりますが,財産分与に加えて慰謝料を受け取ることが出来れば,一定程度のまとまった金額となる可能性が高く,離婚後の経済的不安が少しでも払拭できると考えられます。

慰謝料についての詳細はこちらをご覧下さい。

親権

専業主婦・パート主婦の方からは,自分は収入が少ないから,親権を取ることが出来ないのではないかとご相談を頂くことがあります。

ですが,特に小さいお子さんの場合には,主として養育をしていたお母さんの方が親権を取得するのが通常ですし,収入が少なくても,養育費を受け取ってこれを補うことが出来るのですから,経済的理由は大きな問題とはなりません。

このため,過度に不安になる必要はないと考えられます。

養育費

専業主婦・パート主婦が,未成年の子供の親権者となる場合には,相手方に養育費を請求できます。養育費は,基本的には,双方の収入を基準として,計算式に当てはめ算定されます。ですが,その際,お子さんが私立の学校に行かれているとか,習い事をしている等の事情があれば,それらの特別な費用についても,上乗せして請求するようにすれば,子供に与える影響は,比較的少なくて済むでしょう。

養育費について詳細はこちらをご覧下さい。

婚姻費用

離婚交渉中に,相手と同居しているのは辛いことです。仮に,調停で話し合っているとしても,同居しているのであれば,家で顔を合わせたら何を言われるか分からず,恐怖感も相まって大きなストレスとなります。

このため,離婚を決めた時点で,できるだけ早めに別居をするのが良いと思われます。

確かに生活費はかかってしまいますが,相手に対して,適切な額の婚姻費用を請求してこれを補えば良いのです。

婚姻費用について詳細はこちら(婚姻費用のページ)をご覧下さい。

年金分割

2008年4月1日以降に結婚し,婚姻期間中ずっと専業主婦や扶養内のパート勤務であった場合には,離婚後,相手の合意を得ることなく,自分一人で年金分割の手続きをとることができます(3号分割)。

これに対して,2008年4月1日より前から婚姻していた方や,それ以降であっても,婚姻期間中にご自身で社会保険をかけて働いていた場合には,年金分割について相手の合意をとって分割の手続きを行う必要があります(合意分割)。

相手が合意してくれない場合には,裁判所に,審判を申し立てることで,1/2の分割を認めてもらえます。

ただし,年金分割には,離婚後2年以内に年金事務所での手続きを行わなければならないという期限がありますので,注意しましょう。

3 年代別離婚のポイント

40代のポイント

40代については,夫の退職がまだまだ遠いということもありますので,当然には退職金の分与が認められないこともありますし,認められたとしても,そのときに自己都合退職したときの金額が分与の対象となるのが原則ですので,金額としてはあまり大きくはならないケースが多いでしょう。

他方で,40代であれば,まだまだ働ける期間が長いということもありますし,未成熟のお子さんがおられるというケースも多いかと思います。このため,養育費に加えて,お子さんに十分な教育費を準備するためにも,正社員での就職を目指してみるのが良いと考えられます。

離婚準備として,離婚を考え始めた時期から,就職活動を行っている方もたくさんおられますので,検討されてみても良いかも知れません。

50代のポイント

50代においては,お子さんも成人しているといった方も多いかも知れません。このため,子供の教育費を心配する必要がなくなっている可能性が高い一方で,夫の退職が近付いてきているという特徴があります。

このため,退職金の分与を請求できる可能性は高いですし,その金額も大きくなってきます。退職金について,しっかりとした財産分与を得られれば,その後の生活が安定すると思われます。このため,退職金の分与額がポイントとなります。

4 専業主婦・パート主婦の離婚にあたり,弁護士に依頼すべき理由

これまでお話したとおり,専業主婦・パート主婦におかれましては,経済的な不安が一番のネックとなっている場合が多いです。このため,まずは,一度,弁護士に相談し,離婚に当たって,ご自身がどのような財産的給付を受け取れそうかを知ることからスタートするのが良いと考えられます。

その結果,経済的にもやっていけそうだと判断出来れば,それ以上の我慢を続けずに,離婚を踏み切ることが出来るかも知れません。

また,その結果,実際に離婚に向けて動くのであれば,離婚に精通した弁護士に依頼することで,少しでも有利な条件で離婚をすることが必要です。そうすれば,離婚後の経済的な不安が解消するからです。

経済的な不安を払拭した上で離婚が出来れば,婚姻時のような我慢をせず,心穏やかに生活することが出来るはずです。

5 まずは下川法律事務所にご相談下さい。

離婚をしたいと思っているけど,経済的な不安でどうしても踏み切れず我慢を続けている方,離婚する場合,ご自身がどれくらいのお金を相手から受け取れそうかを知りたい方におかれましても,まずは,下川法律事務所にご相談いただければと思います。

執筆者情報

下川絵美(広島弁護士会)
下川絵美(広島弁護士会)
当サイトをご覧いただきありがとうございます。当サイトでは、離婚に関するお悩みを持っている方向けに、離婚をめぐる様々な事柄について解説しています。いろいろな思いを抱えておられる方も、肩の力を抜いて、何でもお話しいただけると思いますので、お気軽にご相談いただければと思います。離婚・不貞慰謝料に関してお悩みの方はどうぞ気軽にご連絡ください。
|当事務所の弁護士紹介はこちら