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モラハラ夫(妻)と離婚したい!別居に向けてすべきことを弁護士が解説

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

はじめに

モラハラ夫(妻)と離婚したいと考えていても,夫(妻)への恐怖から,離婚が言い出せなかったり,離婚を言い出したとしても,冷静な話し合いができないというご相談を依頼者の方からよくお聞きします。そのような場合に,離婚を進めていく方法をご説明します。

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まずは別居すべき

モラハラ夫(妻)と同居している状態で,お互い対等な関係で話し合いをすることは極めて困難です。一方がモラハラ夫(妻)でない場合であっても,離婚の話し合いを行う際には,感情の対立があることがほとんどですから,そのような状態で,同居したまま,夫婦当事者間で直接話し合うことは,そもそも困難であることが少なくありません。モラハラ夫(妻)との話し合いは,その傾向がより強いと考えられます。

モラハラ夫(妻)が離婚したくないと考えている場合には,そもそも話し合いにすらならないでしょうし,仮に,双方が離婚自体に合意している場合であっても,自分の思うように話し合いが進まなければ,あなたに暴言や態度で圧力をかけ,不当な条件で離婚協議を進めようとする可能性が高いと考えられます。

そのような状態で話し合いを進めてしまうと,本来もらえるはずの財産がもらえなかったり,または,払う必要のない金銭を支払うことになったり,養育費の額が相場とはかけ離れた不当な額となるおそれがあります。

したがって,適切な条件で離婚するためには,まずは別居して,対等な話し合いができる状態にすることが重要です。

別居に踏み切れない理由と対策

離婚をするためにまずは別居をしようと思っても,なかなか別居ができないということもあるかと思います。そこで,別居に踏み切れない理由ごとの対処法を紹介します。

(1)モラハラ夫(妻)が怖い

まず,モラハラ夫(妻)と別居できない理由として,出ていったら夫(妻)が逆上するのではないか,住所を調べて追いかけてくるのではないかという恐怖から,別居に踏み切れないということが考えられます。

もちろん,夫(妻)が逆上したり,住所を調べて追いかけてくるリスクは否定できませんが,少なくとも,夫(妻)が逆上するリスクについては,同居状態も同様に抱えていたものだと思います。このような状態から脱するためには,まずは物理的な距離を置いて,夫(妻)の影響下から離れることが何よりも重要です。

また,実際に別居を開始した後,住所を調べて追いかけてくるというケースは,あまり多くありません。実家に身を寄せる場合はともかく,新しい住居に引っ越す場合,そもそも相手方は,新しい住所を知らないですし,住民票を移動させなければ,少なくとも簡単に住所を調べることはできません。

なお,職場やお子様の学校の手続の関係で,住民票を異動させる必要がある場合には,住民票の閲覧制限の申出を行うことが出来ます。ただし,住民票の閲覧制限の申出を行うためには,警察等への相談実績が必要となる場合がありますので,事前に警察に相談を行っておくことをおすすめします。

(2)金銭的理由

また,金銭的理由で,引っ越しをためらう方もいます。

引っ越しやその後の生活には経済的な負担を伴いますが,敷金・礼金が低額ないし不要の賃貸物件もあり,また,別居後の生活費については後述するように相手方に対して婚姻費用を請求することができます。

別居前に確認しておくこと

(1)夫(妻)の財産の把握

離婚する際には,財産分与にて,夫婦で築いた共有財産の分与を請求することができますが,相手方の財産を把握していないと,分与の対象となる共有財産を特定して請求することが困難となります。

仮に,通帳や証書等の資料が見つからない場合であっても,銀行名や証券会社名がある程度特定できている場合には,弁護士が金融機関に照会をかけることにより,口座を有しているか否か,有している場合にはいくら残高があるのかを確認することができますので,相手方宛に届いた金融機関の手紙を確認する等,日頃から,相手方の財産状況については,できるだけ把握しておいた方が良いと考えられます。

(2)モラハラに関する証拠集め

モラハラと思われる暴言や暴行があった場合は,証拠として残しておくことも重要です。暴言や暴行は離婚原因や慰謝料請求事由となりえますが,暴言や暴行があったことが認められるためにはその証拠が重要になります。暴言の録音や暴行を受けたときの写真等はできるだけ残しておくとよいでしょう。

なお,身の危険を感じるような暴力等に関しては,至急,警察やDVセンターに相談してください。

4.別居決意後の進め方

(1)引っ越し準備

別居をするためにも,まずは住居を確保することが不可欠です。実家に戻って居住する場合でなければ,家賃をはじめとする経済的な事情や,職場,お子様の通学の事情等を考慮して新しい住居を決めます。新しい住居が決まると,具体的な引っ越しの日程を決め,転居先にどの荷物を持っていくのか考えて引っ越し当日に備えます。

(2)夫(妻)に離婚の意思を伝える

何も言わずに出ていくと,「悪意の遺棄」に該当するおそれがあります。

必ずしも,相手方に対面で告げる必要はありませんので,電話やメール,置き手紙等で,離婚の意思を伝えるようにしましょう。自分で手紙等を作成することが困難な場合は,今後の連絡先を弁護士宛にする内容の手紙を弁護士が作成することもあります。

(3)別居後に生活費が支払われない場合

また,モラハラ夫(妻)の方が自分より収入が多い場合や,あなたがお子様とともに別居されている場合は,婚姻費用を請求することができます。

相手方が婚姻費用の支払に応じない場合には,別途,婚姻費用の調停を申し立てて,裁判所の算定表に基づいた適切な額を支払ってもらうことが可能です。

(4)同居している自宅に届く郵便物

別居後,転送届は住民票の記載と関係なく提出することができますので,住民票を移さなくても転居先に郵便物を転送してもらうことは可能です。

もっとも,住民票を移動させていないと,役所関係の手続きが煩雑になる等のデメリットもあるので注意が必要です。

(5)新居を知られないようにする方法

別居後,住民票を移動させなければ,そもそも住民票に新居の情報が記載されることはありません。住民票を移動させた場合でも,住民票の閲覧制限をすることができれば,相手方は,住民票に乗っている新居の情報を閲覧することができなくなります。荷物の送付は,実家を送付先にしてもらう等の方法があります。

5.おわりに

モラハラ夫(妻)と離婚をするために,まずは別居を検討してみましょう。別居をすることで自身の身を守ることができ,また,相手方の圧力から解放されて冷静な判断もできるようになるでしょう。

モラハラ夫(妻)との離婚交渉は,精神的な負担が大きく,離婚を急ぎすぎるあまり著しく不利な条件で離婚をすることも多くあります。モラハラ夫(妻)との離婚を考えている方,別居を考えているものの,なかなか踏み出すことができない方は,ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

>>ご相談の流れ

執筆者情報

下川絵美(広島弁護士会)
下川絵美(広島弁護士会)
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