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子供が私立学校に通う場合の離婚と養育費の取り決め

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

お子さんがいらっしゃる場合,離婚において最も重要な争点の一つが子供の養育費です。裁判所で養育費の金額を決定する際には、一般的に「養育費算定表」という基準が使われ、義務者(養育費を支払う側)と権利者(養育費を受け取る側)の収入に基づいて金額が決められます。しかし、子供が私立学校に通っている場合、その学費は公立学校に比べて非常に高額になるため、通常の養育費算定表ではカバーされない部分が生じます。したがって、私立学校の学費に関しては、別途の考慮が必要です。

この記事では、子供が私立学校に通う親の離婚において、養育費と学費の取り決めがどのように行われるのか、また、どのような点に注意すべきかについて解説していきます。

  1. 養育費算定表とは?

まず、養育費算定表について簡単に説明します。これは、家庭裁判所が養育費を算出するための基準であり、義務者と権利者の収入、子供の人数、そして子供の年齢に基づいて標準的な養育費の額が表形式で定められているものです。この算定表は、標準的な生活費を基準に作成されていますが、子供が私立学校に通っている場合、私立学校の学費はこの標準的な生活費に含まれていません。そのため、私立学校に通う子供の養育費を決定する際には、追加の配慮が必要になります。

なお,養育費算定表は,表形式で幅をもたせた形で養育費の額が定められており,これが一定の基準となっていることは間違いないのですが,実際には,複雑な計算方法によって,双方の収入に一定の係数をかけるなどすることで,1円単位まで正確な金額を出すことができます。

弊所においては,正確な養育費の金額を知りたい方へ向けたプランもご用意しておりますので,正確な養育費の金額を知りたいという方につきましても,弊所へお問い合わせいただければと思います。

  1. 私立学校の学費をどう取り扱うか?

子供が私立学校に通っている場合、学費の取り扱いが問題になります。裁判所での養育費算定では、学費について以下のように考慮されることが一般的です。

養育費算定表で示される金額のうち、教育費として考慮されている金額は標準的な教育費、つまり公立学校に通う子供にかかる費用を前提にしています。したがって、私立学校に通う場合、学費の一部は養育費に含まれていないことになります。

そこで、学費をどのように負担するかについては、権利者と義務者の収入を按分し、義務者が負担すべき学費を算出します。具体的には、私立学校の学費から、算定表で考慮されている標準的な教育費を差し引き、その差額について、双方の収入割合に応じて負担額を決め,これを,算定表で定められた養育費に加算するという形で決定します。

  1. 合意による柔軟な対応

裁判所での算定方法が基本となりますが、当事者双方が合意すれば、もっと柔軟な対応が可能です。たとえば、私立学校に通う子供の学費について、公立学校との差額を全額義務者が負担するという合意をすることも考えられます。このような合意が成立すれば、裁判所での標準的な計算方法によらず、実質的な学費負担が養育費に上乗せされるケースもあります。

ただし、こうした合意を成立させるには、当事者間の信頼関係や、双方の経済状況、そして子供の教育に対する価値観が一致していることが必要です。経済的な負担が大きい場合、義務者側にとっては難しい決断となることもあるため、弁護士を介して慎重に話し合うことが重要です。

  1. 実際のケーススタディ

過去に、私立学校に通う子供を持つ親の離婚で、双方が合意に至り、私立学校の学費全額が義務者によって負担されたケースがあります。このケースでは、義務者が子供の教育に強い関心を持っており、子供の将来のためには私立学校での教育が必要だと判断していたことが背景にありました。

一方で、合意に至らず、裁判所での調停や裁判で学費の負担割合が決定されたケースもあります。この場合、義務者の収入が限られており、私立学校の高額な学費を全額負担することは難しいため、双方の収入に応じた合理的な按分が行われました。

  1. まとめ~弁護士に相談するメリット~

子供が私立学校に通っている場合の養育費の取り決めは、通常の算定表では対応できない複雑な要素が絡むため、個別の事情に応じた解決策が必要です。また、当事者間で合意できない場合、裁判所での判断に委ねることになりますが、その際も専門的な知識が求められます。

このような場合には、弁護士に相談することが重要です。弁護士は、双方の経済状況や子供の教育に対する希望を踏まえ、適切な養育費の取り決めをサポートします。また、調停や裁判での適切な主張を行い、依頼者の利益を最大限に守ることが可能です。

特に、私立学校の学費が問題となる場合には、将来の子供の教育を考慮した長期的な視点での判断が求められます。私たちの事務所では、こうした複雑な離婚案件にも精通しておりますので、依頼者の皆様に最適なアドバイスをするとともに,サポートしてきます。

私立学校に通う子供の養育費や学費の負担についてお悩みの方は、ぜひ下川法律事務所にご相談ください。

執筆者情報

下川絵美(広島弁護士会)
下川絵美(広島弁護士会)
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