看護師の離婚【広島の弁護士が解説】
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目次
1.離婚をお考えの看護師の皆様へ
看護師の方は、早朝から夜遅くまで仕事をされていることも珍しくありません。また、夜勤もあり、仕事もハードワークになりがちです。
それに加えて、家に帰ると家事や育児もしなければならず、パートナーである配偶者が協力してくれないと、不満もたまりやすくなります。また、配偶者と家にいる時間がずれがちなので、配偶者とすれ違いが生じることも多くなります。
一方、看護師は、比較的経済力があることが多く、離婚をしても生活に困らないという方も少なくありません。そのため、妻が看護師である場合、離婚をしても、妻自身の収入で十分に生活をすることができるというケースも多くあります。
このような理由で離婚を考える看護師の方も少なくないようです。
そこで、今回は、看護師の方が離婚を考える際の注意点について解説します。
2.看護師の場合、配偶者から親権を主張されることも
夫婦間に未成年の子どもがいる場合、離婚の際に、親権者を決めなければなりません。
親権者は、夫婦間の協議で決まることも多いですが、夫婦間の協議でも決まらない場合は、裁判所が子の利益を重視して決めることになります。具体的には、従前の子どもの監護状況や子どもの意思等が考慮されます。
妻が看護師の場合、夜勤がある等一般的にハードワークなため、夫も子どもの面倒をみていることが多いというケースもあり、従前から夫が主に子どもの面倒を見てきたと主張されることもよくあります。
また、このような勤務状況であることから、妻は離婚後も子どもの面倒を十分に見ることができないという主張が夫側からされることも少なくありません。
このような夫側の主張に対しては、妻が主に子どもの面倒を見てきたことや離婚後も子どもの面倒を十分に見ることができる環境にあること等の反論をすることになり、それらの証拠もそろえることが親権を取得するために重要となってきます。
例えば、従前から子どもの食事や保育園の準備を担当していたこと、保育園の連絡ノート等を記録していたこと、保育園の送迎を行っていたこと等が証拠として残るようにしたり、勤務時間を勤務先に相談して子どもの面倒をみることができる勤務体制を検討したりすることなどが考えられます。
3.看護師の場合、養育費はどのくらいもらえる?
養育費の算定は、基本的には夫婦双方の収入をベースに計算します。
看護師は収入が比較的高額になることも多いため、夫婦双方の収入差が少なく、単純に収入だけで計算をすると、養育費が低くなってしまうことも少なくありません。
もっとも、必ずしも夫婦双方の収入のみによって決まるわけではなく、収入以外の個別的な事情から養育費の金額が増減することもあります。そのため、養育費を算定する際にはそのような個別的な事情もきちんと主張することが重要です。
また、看護師の中には、配偶者が医師という方もいます。
医師は、収入が高額な方も多く、このような場合は、養育費の金額も高額になる傾向にあります。また、配偶者の収入が著しく高く、高額な学費等がかかっていることもあります。このようなケースでは、これらの学費等も考慮して養育費が増額されることもあります。
妥当な養育費についてお悩みの方は、離婚事件に精通している弁護士に一度相談してみるとよいでしょう。
4.財産分与の対象となる財産とは
財産分与とは、夫婦が離婚する際に、婚姻中に形成した夫婦の共有財産を夫婦で分けることをいいます。
財産分与では、まず、夫婦双方名義の財産がどのくらいあるのかを明らかにし、分与割合に応じて分与することになります。分与割合は通常2分の1ですが、これと異なる割合になることもあります。
ただし、財産分与の対象となるのは、夫婦が婚姻中に形成した財産であり、婚姻前から有していた財産や、婚姻後であっても相続した財産等は財産分与の対象とはなりません。
看護師の方の場合、婚姻前から一定程度の貯蓄があり、婚姻後の財産と分けて管理されていることも珍しくありません。このような婚姻前から保有している財産は特有財産となり、財産分与の対象とはなりません。
そのため、どの財産が財産分与の対象とならない特有財産なのかを特定して主張する必要があります。
また、配偶者が医師の場合は、配偶者名義の財産が多額であることがあります。財産分与の対象となる財産には、不動産や預貯金に限らず、株式や生命保険といった財産も含まれます。
勤務医の場合は、退職金も財産分与の対象となります。
一方、開業医の場合も、多額の資産を保有していることが多くあります。
開業医で医療法人化しておらず、事業用財産が個人名義の場合、事業用財産についても財産分与の対象となりえます。他方、医療法人名義の場合でも、医療法改正前に設立された医療法人については、出資持分があり、財産分与の対象となることがあります。
財産分与の対象となる財産が思っていた以上に多いということもめずらしくありません。
財産分与においては、適切な金額で分与されるためにも、配偶者がどのような財産を保有しているのかを把握しておくことが非常に重要です。
5.慰謝料が請求できることも
看護師である妻の仕事が忙しく、夫も家事を一定程度行っていると、妻に対して家事をしないなどと不満を口にされたり、中には人格を否定するような発言をされたり暴力を振るわれたりすることもあります。
また、看護師には夜勤等があり、家にいないことも多く、配偶者が他の異性と不貞行為を行うこともあります。
このように、配偶者の暴力や不貞行為等が原因で離婚になったときには、配偶者に対して、慰謝料を請求できる可能性があります。また、配偶者に不貞行為があったときには、配偶者だけでなく、不貞相手に対しても損害賠償請求をすることができます。
暴言や暴力の証拠となる録音や怪我の写真、診断書等が証拠の一例です。不貞行為の証拠については、探偵に依頼をして証拠となる写真が得られることもあります。
6.看護師が離婚をするまでの間の婚姻費用の請求
離婚をするまでの間も、別居をしていると、収入が少ない配偶者は収入が多い配偶者に対して婚姻費用を請求することができます。ただし、子どもがいる場合、どちらが子どもと同居し、養育しているかによって、婚姻費用を請求できるかどうか異なります。
婚姻費用も、基本的には養育費と同様に夫婦双方の収入によって決まりますが、収入以外の個別的な事情が考慮されることもあります。
前述したように、看護師の方は、収入が高いことも多いため、個別事情はしっかりと主張する必要があります。また、配偶者が医師等で収入が多い場合は、婚姻費用も高額になる傾向にあります。
7.ぜひ一度下川法律事務所までご相談ください
離婚の際には、親権者、養育費、財産分与等決めなければならない条件が多岐に渡ります。これらの条件も、夫婦当事者同士の話し合いで決めることができれば問題ありません。しかし、当事者間の話し合いがまとまらず、法的な手続きに従って決めることになると、考慮する事情や算定方法も複雑なため、一般の方には理解しづらいと感じられることも少なくありません。
また、特に看護師の方は、仕事に取られる時間が多いこともあり、配偶者と交渉したり、調停や裁判等の準備や出席をしたりすること自体が困難ということもあります。
離婚問題に精通している弁護士にご依頼いただくことで、親権、養育費、財産分与、慰謝料、婚姻費用等の条件について、個別具体的な事案に基づいて分析し、法的な根拠に基づいて主張することが可能です。
また、配偶者との交渉や、調停・訴訟等の対応も、弁護士にサポートしてもらうことができますので、お仕事をしながらでも、離婚の手続を進めることができるでしょう。
離婚の手続を進めることについてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談下さい。
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