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熟年離婚における持ち家の扱い方【各方法のメリット・デメリット】

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

熟年離婚では、長年にわたり築き上げてきた財産をどのように分けるかが大きな課題になります。その中でも「持ち家(不動産)をどう扱うか」は、感情面・経済面の両方で非常に重大な問題です。

広島県内でも、離婚を検討される50代・60代のご相談者様から、「この家を出るべきか」「売却すべきか」「自分が住み続けるにはどうしたらいいのか」といったお悩みを数多くいただきます。

この記事では、熟年離婚における不動産(持ち家)の扱い方について、主な選択肢・注意点・弁護士に相談するメリットなどを分かりやすくご説明いたします。

1.まずは不動産の「購入時期・方法」と「ローン残高」を確認

離婚時の不動産の扱いを考えるには、まず「購入時期・方法」と「住宅ローンの有無・残高」の確認が必要です。

離婚時に夫婦のどちらかが所有している不動産は,夫婦どちらかの名義または共有名義であれば,原則として夫婦の共有財産に含まれます。このとき,夫婦の一方の名義であるからといって,当然にどちらか一方のみの財産ということにはなりません。

もっとも,例えばどちらかの両親など,夫婦以外の第三者が資金を負担していた場合や,婚姻前に購入し,その購入資金も独身時代に得たお金から出していた場合には,資金を出した者の財産という扱いことになり,夫婦の共有財産には含まれません。

また,ローンが残っている不動産を分ける場合、「売却してローンを返す」か「誰かが住み続けて返済を引き継ぐ」かを選ぶ必要があります。どちらを選ぶにしても法的・経済的な問題が伴いますので,慎重な検討が必要です。

弁護士に相談するメリット:

弁護士に相談することで,不動産が共有財産に該当するか否か明らかにできます。

また,住宅ローン付き不動産の取り扱いは非常に複雑ですので,その場合に不動産をどのように分けるのが妥当か、弁護士が法律に基づいて判断・アドバイスを行ったり、金融機関との交渉が必要になるケースでは、弁護士が代理人となって話を進めることもできます。

2.主な選択肢1:持ち家を売却して現金化・分配する

熟年離婚において最も多く選ばれている方法の一つが、持ち家を売却してその代金を分け合う方法です。これには次のようなメリットがあります。

【メリット】

  • 現金に換えることで、公平な分与がしやすい
  • お互いに気持ちを整理して新生活に踏み出しやすい
  • 維持費や税金など、今後の費用を気にせずに済む

【注意点】

  • 売却がスムーズに進まないと離婚協議が長期化する
  • 売却価格によっては、ローンを完済できないリスクもある
  • 売却時の譲渡所得税がかかる場合もある

弁護士に相談するメリット:
不動産売却にともなう税金や費用の精算、売却代金の分配に関する取り決めは、弁護士が関与して公正な合意書にしておくことで、後々のトラブルを回避できます。不動産の名義変更・売買契約に関する条件も、法律的に正しく整える必要があります。

3.主な選択肢2:どちらか一方が不動産を取得する

たとえば、妻が「住み慣れた家を出たくない」と希望する場合、妻が持ち家を取得し、夫にはそれに見合った他の財産を渡すことでバランスをとる方法があります(代償分与といいます)。

【この方法のメリット】

  • 引越しや住居の心配をせずに済む
  • 生活環境が変わらないため、精神的な安定を保ちやすい

【注意点】

  • 不動産の評価額をめぐってトラブルになりやすい
  • 住宅ローンが残っている場合には,取得する方がローンを負担する必要がある
  • 固定資産税や修繕費といった「維持費」も取得する方で負担する必要がある
  • 将来的に売却する際にも手間と費用がかかる

弁護士に相談するメリット:
代償分与は不動産の適正評価が必要です。弁護士は、不動産業者・税理士と連携しながら評価額を把握し、他の財産(退職金、預貯金など)とどうバランスをとるかをアドバイスします。相手方と金額に差が出た場合でも、交渉を代理してくれる点で安心です。

4.主な選択肢3:持ち家を共有のままにして、一方が住み続ける

売却せず、名義変更もせずに、夫婦のいずれかが住み続け、共有名義のまま残す方法もあります。

しかし、これは将来的なリスクが非常に高いため、慎重な検討が必要です。

【リスク】

  • 売却や相続の際に、共有者の同意が得られないとトラブルになる
  • どちらが修繕・管理費を負担するか不明確になる
  • 共有名義のままでは住宅ローン控除などの税務処理も難しくなる

弁護士に相談するメリット:
持ち家を共有のままにして、一方が住み続けることは,上記リスクからあまりおすすめはできませんが,共有状態のままで不動産を保有する場合でも、「将来売却時の分配割合」「維持費の負担」「相続時の対応」などを定めた契約書を弁護士が作成することで、リスクを大幅に減らすことができます。

5.熟年離婚では「老後の住まい」と「生活費の確保」を一体で考える

熟年離婚の最大の特徴は、「離婚=老後の生活設計のやり直し」であることです。

多くの方が、「家をどうするか」と同時に、「離婚後の生活費は大丈夫か」「年金で暮らせるか」といった不安を抱えています。

特に以下のようなケースでは、持ち家の扱い方が老後の生活の安心に直結します。

  • 今の家に住み続けたいが、住宅ローンの返済が残っている
  • 年金が少なく、家を売った資金を生活費に充てたい
  • 将来的に老人ホームなどに入所することも検討している

弁護士に相談するメリット:
弁護士は、不動産の処分だけでなく、退職金や年金分割、慰謝料、生活費の確保などを含めた「総合的な財産分与」の観点からアドバイスを行います。老後の生活を見据えた「無理のない着地点」を一緒に探すことができます。

6.不動産の扱いは「感情」ではなく「戦略的判断」で

「この家に長く住んできたから手放したくない」「夫(妻)には絶対この家を渡したくない」――熟年離婚において、こうした感情が先行してしまうことも少なくありません。

しかし、家の維持費・税金・売却時の手続きなどを冷静に見極め、今後の生活にとって最良の選択をすることが大切です。

感情面と法的な立場を切り分けながら、戦略的に考えるためには、法律の専門家である弁護士の力を借りることが非常に有効です。

◆ 熟年離婚で「持ち家をどうするか」に迷ったら、まずは弁護士にご相談ください

熟年離婚では、持ち家の扱いひとつをとっても、これまでの生活、これからの人生、そして経済的な見通しに大きな影響を及ぼします。感情的なもつれや複雑な財産関係でお悩みの方も、弁護士の力を借りることで、冷静かつ法的に適切な対応が可能となります。

「この家に住み続けられるのか不安」
「売却した方がよいのか、それとも残すべきか」
「相手と話がかみ合わない」

――このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、私たち晴星法律事務所にご相談ください。

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執筆者情報

下川絵美(広島弁護士会)
下川絵美(広島弁護士会)
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